記す者

「どうして、そこまで拒否するの?」

「ベリルだからだよ」

「?」

「他の傭兵なら、いくらでも紹介するから彼をそっとしておいて」

 あたしたちの邪魔をしないで……ノインは潤んだ瞳をケイトに向けた。

「邪魔だなんて、そんなことするつもりは──」

「邪魔してるのよ、あなたがいるだけで」

 黄昏色の瞳がケイトを見つめる。

「お願い」

 あたしの時間を奪わないで、ベリルといられる大切な時間を……。

「ノイン」

 彼女の表情に胸が痛む。

 ノインは感極まったのか、涙を見せたくないのか、すっと立ち上がり部屋をあとにした。