記す者

 この子は本当に彼のことが好きなのね……クスッと笑い、ほほえましく感じてノインの後ろ姿を見つめた。

 こんな光景を見せられては、彼を奪おうなんて考える事も出来ない。

「安心して、私には彼氏がいるから」

「!」

 そんなウソも吐ける。

 しかし、それを聞いた彼女の表情は一向に明るくはならなかった。

 何かしら、この空気……異様に重圧感のある車内に、ケイトは生ぬるい笑みを浮かべる。

 ケイトの言葉を信用出来ないというより、彼氏がいてもベリルに乗り換えるかもしれない。

 という感情の方が大きいらしい。

 だめだこりゃ……ケイトは、呆れて窓の外を眺めた。