記す者


 終始、無言の車内──ベリルは元々、無口な方だが、こういう重たい雰囲気は苦手だ。

 溜息を漏らし、ラジオを付ける。軽快な音楽が車内に満たされた。

 次の瞬間──ブチッ! とノインがラジオを切った。

「……」

 ベリルは一瞬、目を丸くしたが彼女が怒っている理由は他にある。

 ケイト自身にではなく、ベリルが女性を車に乗せた事だ。

「そう怒るな」

「怒るわよ。女たらし」

「!」

 それに、ようやくケイトも本当の理由に気が付いた。