記す者

「許してやってくれ。以前、私が言った事に反応しているのだ」

「! あなたの言ったこと?」

 ベリルは背もたれに体を預けた。

「人が死ぬのは戦争だけではない」

「!」

「己の国に目を向けず、より多くの死を追い求める事が、はたして正しいのか」

「そうね。その意見は正しいかもしれない。でも──っ」

「解っている。より多くの死が横たわっている事に怒りを感じ、それを公表せずにはいられない感情も」

 ベリルは、持っているブランデーのグラスを傾ける。

「ノインの両親は内戦で命を落とした」

「! だったら……」

「本来なら戦争を憎み、お前の言葉に賛同したかもしれん」