「お前はまだ若い」

 そう言われている気がした。

 私よりも若いくせに! とベリルを睨み付けた。彼女は28歳で、年下に見えるベリルを年上の特権のごとく対応していたのだ。

 だが、ベリルの言葉は常に冷静で隙がない。

 どうして、ここまで頑な(かたくな)に拒絶するんだろう……ベリルが不老不死だと知らないケイトは、彼をじっと見つめた。

 本当に傭兵なのかしら? 今まで見た、どんな人間よりも上品だわ。

 どこかの国の王子だと言われても、納得出来るに足る雰囲気を持っている。

 しかし、それ以上に張り詰めた空気を漂わせ、ケイトを寄せ付けない。

「!」

 エメラルドの瞳に見つめられ、ケイトは目をそらした──心臓の高鳴りを抑えるように、胸に手を当てる。