天空のエトランゼ〜赤の王編〜

トンネルを出たと同時に、ペンダントからピュアハートを召喚させたカレンの横凪の斬撃が、数匹の魔物を切り裂いたのだ。

「チッ」

しかし、魔物の数は半端なかった。

「輝!ぼおっとするな!」

カレンが飛び出した窓から侵入しょうとした魔物の額を、緑は木刀でかち割った。

「え!」

いつのまにか、二台のバスは数え切れない程の魔物の群れに囲まれていた。

「こ、こんなにいたのか!」

トンネル内よりもましになった風の中で、カレンは立ち上がると、ピュアハートで数匹の魔物を相手していた。

後ろのバスの上では、素手で魔物達を蹴散らす九鬼がいた。

「チッ」

バスの周りを飛び回る無数の魔物と、揺れる屋根に足を取られ、いつも以上のキレがでないことに、九鬼は軽く舌打ちした。


「うわあああ!」

バスの前に飛び込んできた魔物によって、視界を失った運転手がパニックになった。

「どけ!」

席から立ち上がり、魔物達を見つめ、対応を悩んでいる生徒達を押し退けて、梨々香が前に来た。そして、銃底でフロントガラスを割ると同時に、銃弾を魔物に浴びせた。

魔物は撃ち落とせたが、激しい風が車内に吹き込んでいた。

「まったく!」

さやかはカードを取り出すと、修復魔法を発動させて、フロントガラスをもとに戻す。

「無茶するな!」

さやかは、梨々香に注意した後、カードの魔力の残留をチェックした。

「一度止まって、魔物を外で迎え撃ちましょう」

生徒の1人が、前田に進言した。

「駄目だ!止まっては、いけない。一気に、そのエリアを突破する!」

前田の目に、翼をたたんで、四本足でバスを追いかけてくる魔物の姿が映った。

やつらの目的は、明らかだ。

バスを破壊された場合、徒歩でこの山を越える方が、リスクが大きい。

「とにかく!バスの中から攻撃する!」

しかし、体術をメインにして、剣や槍などしか認めていない学校の方針により、飛び道具を持っている生徒は、梨々香しかいなかった。

窓から攻撃するにも、限界があった。