(モード・チェンジ!)

ティアナは使った。

水中戦用のモード・チェンジではなく、筋肉を増した変化だった。

海面向かって、真っ直ぐに上がていく。

モード・チェンジでスピードの増したティアナよりも、触角の方が速かった。

しかし、 それもまたティアナの計算の内だった。

(いける!)

ティアナが海面から飛び出した時、触角は足元に迫っていた。

「モード・チェンジ!」

ティアナは海面を睨みながら、叫んだ。

すると今度は、ティアナの体が変わるのではなく、ライトニングソードの刃の表面が変わった。

電気を帯びていた刀身が、今は冷気を纏っていた。

ティアナは空中で、エビ反りになると、触角の攻撃を避けた。

それから、刃を下に向けると、一気に落下して、海面に突き立てた。

一瞬で、周囲の海面が凍った。

「足場さえあれば」

ティアナは、凍った海面に着地した。

自分を追って、海中から飛び出した魔物の触角も凍りつき、動けなくなっていた。

「は!」

気合いを込めると、ティアナはライトニングソードを横凪に払った。

凍りついている部分の根元だけを残し、触角を切り裂いた。

足下から、魔物の絶叫が聞こえた。

「!」

だが、触角は一本だけではなかった。

ティアナの真後ろの氷を突き破って、二本目の触角が襲って来た。

しかし、ティアナは身をよじると、返す刀で迫ってくる触角を斬り落とした。

それから間を開けずに、足下にある触角の切り口に目をやると、回転させたライトニングソードを突き刺した。

触角の切り口は、丸太ほどの大きさがあり…ドリルと化したライトニングソードが通るのに、丁度よかった。

ティアナは、ライトニングソードを離すと、そのまま氷の上を疾走した。

そして、凍っていない海面に浮かんでいるホバーバイクに向かって飛んだ。

シートに腰かけると、ホバー機能を最大にした。

「放て!ライトニングソード!」

バイクが空中に浮かぶのと、辺り一面の海水が雷撃で輝くのは、ほぼ同時だった。