「アハハハハ!」

3つのオウパーツを着けた女は笑いながら、両手を広げた。

そして、ジェースのそばで立ち止まると、見下ろしながら言葉を続けた。

「王は!我を否定した!この我をだ!世界中のあらゆる防具の頂点に立つ我をだ!」

「何を言ってやがる!」

ティフィンは震えながらも、強がりながら毒づいた。

「ならば!我は我の為に、この力を使おう!この最強の盾を!」

女の言葉と、仮面から覗かれるどこか虚ろな目を見て、ジェースは悟った。

「ま、まさか…オウパーツが意思を持っているのか!」

「え!?」

絶句するティフィン。

「知らなかったのか?」

女は、ジェースを見下ろし、クククッと笑うと、

「仕方がないか…。お前は、単に腕をつけているだけだからな!我は、選んでいるのだよ!我を身につける資格がある王をな!なのに!しかし!」

仮面から覗かれる目が、血走る。

「その資格のある王が!我の体を傷付けた!許さんぞぉ〜!許さんぞ!」

「狂ってやがる」

ティフィンは、顔をしかめた。

「まずは、右腕を回収しょうか」

治療を続けるティフィンの頭に、影が落ちた。

左足を振り上げた女は、そのまま一気に振り下ろした。

発動したオウパーツが、高周波ブレードのような性能を発揮し、ジェースの肩口を切り裂くはずだった。

「な!」

確かに、血飛沫は舞い…右腕は地面に落ちた。

しかし、その腕はジェースのものではなかった。

「あたし以外に!ジェースは殺らせない!」

ジェースと女の間に、割って入ったのは、玲奈だった。

「ジェースは、あたしが!」

玲奈の左腕がうねり上げて、女のボディに突き刺さった。

しかし、女は平然としていた。

「ば、馬鹿な」

玲奈は愕然とした。

オウパーツが覆っていない…素肌の部分にヒットしたはずだった。

それなのに…いつのまにかオウパーツが、女の腹の周りを包んでいた。

「残念!」

そう言って笑った女が、玲奈の左腕に自分の左手を添えた瞬間、オウパーツは移動した。