「退屈だ」

その予定ポイントで腕を組む…金髪の女子生徒。

「まだ来ないのか…。うん?」

突然、女子生徒の左目が光った。

「来たか!」

監視衛星から送られてくる情報が、女子生徒に2人の接近を伝えた。

すると、女子生徒は二本の刀を握り締めた。

「うん?」

大月学園の裏口から、少し離れた場所に、広場があった。哲也達…防衛軍が健在の時、そこは戦車などが配備される予定であったが、結局…計画は頓挫し、今はただの空き地となっていた。

その空き地に、ジェースと玲奈が足を踏み入れた瞬間、女子生徒は刀を向けた。

「我は、九鬼真弓の好敵手!十六早百合改め!十六夜早百合マークII!お前達が、オウパーツの…」

十六夜は、最後まで話すことはできなかった。

真後ろに2人が現れ、十六夜の首筋に手刀を叩き込んだからだ。

「あ、あたしは…何しに」

一撃で地面に倒れた十六夜を、玲奈は見下ろし、

「フン!邪魔よ」

鼻を鳴らした。

ジェースと玲奈は、十六夜のそばから歩き出すと、ゆっくりと距離を取るように離れた。

そして、空き地の真ん中に来ると、互いに向き合った。

「玲奈…」

ジェースは、ゆっくりと銃口を玲奈に向けた。

「ジェース」

玲奈は、銃口の向こうのジェースの目を見つめた。

「お前も、オウパーツの意思に操られているのか?」

ジェースは、サイレンスの引き金にかけている指が震えていることに気付いていた。

そんなジェースの様子に気付いた玲奈は憐れむように、彼を見つめると、左手を突きだした。

「あたしは、あたし。でも、オウパーツを集めるのは、組織の目的だった。そんな組織に、あたしは育てられた」

玲奈の左腕から、金属音に似た発動音がすると、オウパーツが剥き出しになった。

「だから、せめて…オウパーツを集める任務は遂行する。その後は、このオウパーツを王に捧げて、あたしは自由になる」

そして、左手を握り締めた。

「そうか…」

玲奈の言葉を聞いたジェースは、銃口を下ろした。