『でもさぁ、南斗…なんなんだ? あのドアにへばりついてるおぞましい数の女子は…』



と、修二。



『すげぇ、目がハートだぜ、ハート。』



と、続いて陸。





南斗がドアの方に目をやると、メガネごしに2,30人ほどもの女子の大群が、こっちを見てキャァキャァ言っているのが見えた。




『ぁぁ!まだいたのかあいつら、ちくしょぅめ。』


『まだいたのか、じゃねぇよ!俺たちに対する皮肉か!』


と、陸。


『くぁ~っ、俺もそんなセリフ言ってみたいんだけど!』


と、修二。




『つかさぁ、お前ら…一目惚れとかまじであるとか思ってんの?』


南斗が窓の方に向き直って言った。




陸と修二はキョトンと顔を見合わせて、



『『あるだろ~』』



と答えた。






『性格とか趣味とか、何も知らないうちから、好きになれんの?』



と、南斗が更におす。



『可愛ければいいです。』


と、陸。


そして修二は、


『俺は相手に合わせる主義だから。
基本何でもだいじょーぶ。』






『………ふぅん…。

俺は求められる方が気持ちがいいわ!

片思いでもずっと追いかけるなんてカッコわりぃことはできねぇよっ

じゃ、次の授業でっ』



と南斗は空になった紙コップをくずかごに投げ入れ、ドアの方へカツカツと歩いていった。


女子の黄色い声が飛ぶ中、南斗は迷惑そうな顔で女子の群れを掻き分け、廊下へ出て行った。



女子の群れが金魚のふんのように彼について廊下を歩いて行った。