「どんな物がいいか…」


店頭に並んでいる服を手にとりながらナオトが言う。

どうやら手に取った服は形からして外套のようだが、この時代はこういった服を着るものなのかと、一人納得しているナオトである。

過去ということは分かるが、そもそもこの時代が歴史でいう何時代か、よく分かっていないのだが。


「実は私自身も父の好みが分からないのだ。
だからナオトに頭まで下げたんだ」


最初は途方に暮れたような物言いで、最後は責めるような物言いで言うエイダ。

ナオトにお願いしたことが、よほど屈辱だったらしい。


けれど、そんなこと言われてもナオトにもエイダの父の好みなど、知ったことではない。


知っている事といえば、ナオト達が所属している軍の将軍であり、剣の腕で右にでる者はいないと言われていること。


それくらいである。