「それで?」


顔が緩むのを必死で抑えながら短く促す。

ナオトに頼み事をすることが癪なのだろう。
口をパクパクとさせたエイダは蚊の鳴くような声でか細く呟いた。


「…ナオトに、選んで欲しい」


エイダの決死の呟きは、しっかりとナオトの耳朶を打った。


しかと、この耳で聞いたナオトは今まで堪えていた笑いを一気に解放するように、満面の笑顔で答えた。


「貴女の仰せのままに、エイダ中佐」


頭を垂れて丁寧に言う。

瞼で暗く閉ざされた世界の中で、目の前の女が頬を紅く染めているなど、ナオトはもちろん知らない。