「でもそれは父様の苦しみを知らなかったから言えたことで、こうして父様の気持ちを知ることが出来た今、疎む思いは微塵もありません。
それどころか、話してくれたことに感謝しています」

「…そうか」


ぽつりと父が声を漏らす。
たったそれだけの事なのに、エイダは嬉しく感じた。


「父様が苦しんでいることに気がつかなかった私たち兄妹にも非はあります。
でも私達に何も言わなかった父様も悪い。
…そうでしょう?」

「ああ、悪かった」

「いいんです。これでもう誤解は無くなった。
私も父様も本音を曝した。
これからは今までに出来た溝を埋めていけばいいのです」


言うと父は口を閉ざした。

振り返ると父は穏やかな笑みを浮かべていて、エイダは安心した。