エイダ達の母が死んだのは急な心臓発作だった。

もともと体は丈夫な方ではなかった母はよく風邪をこじらせて寝込んでいた。

そしてある時ぽっくりと逝ってしまったのだ。

こんな悲しい事があるか?


まだ軍に入隊して間もなかったエイダは責務に追われ、ろくに母の顔を見ることすら無かった。
親孝行など毛ほども出来なかった。

それが悔しい。

そして同時に、父に対する怒りもあった。


母の突然の死を電報で伝えた時も、平然と「そうか」と一言口にしただけだったという。

それどころか葬儀にも参列しなかったのだ。