皮肉と剣と、そして俺Ⅱ



「父は母のシュークリームが大好きだったんだ。
だから、その味を思い出して欲しくて、な」

「そっか」


何故だか辛そうな表情で語り出すエイダ。
その声音も痛々しくてナオトは一瞬息を呑んだ。

けれど。


「エイダにしてはなかなか良い考えだな」

「何だ、その上から目線」


重苦しい雰囲気になるのが嫌で、あえて馬鹿にした態度をとった。

するとすかさず返ってくる返答。
ナオトはそのまま言葉を紡いだ。


「手伝って貰ってる側なんだから当たり前だろ?」

「なっ」


事実を言われて返す言葉が無くなったのだろう。今度はエイダが焦る番だった。

エイダは悔しそうに唇を噛み締めると、先程シュー生地を入れたオーブンへと向かって行ってしまった。

その背中からも悔しいというオーラが溢れていて笑いを誘う。