「父は母のシュークリームが大好きだったんだ。
だから、その味を思い出して欲しくて、な」
「そっか」
何故だか辛そうな表情で語り出すエイダ。
その声音も痛々しくてナオトは一瞬息を呑んだ。
けれど。
「エイダにしてはなかなか良い考えだな」
「何だ、その上から目線」
重苦しい雰囲気になるのが嫌で、あえて馬鹿にした態度をとった。
するとすかさず返ってくる返答。
ナオトはそのまま言葉を紡いだ。
「手伝って貰ってる側なんだから当たり前だろ?」
「なっ」
事実を言われて返す言葉が無くなったのだろう。今度はエイダが焦る番だった。
エイダは悔しそうに唇を噛み締めると、先程シュー生地を入れたオーブンへと向かって行ってしまった。
その背中からも悔しいというオーラが溢れていて笑いを誘う。

