さっきのわたしを呼ぶ声は ほんとうにそら耳だったんだろうか なぜか気にとまる、 なつかしくて独特な 甘いシナモンみたいな声 その声はどこかあたまの奥の奥の方にしまいこんでしまったように すっと記憶に浮かび上がってはきてくれなかった じんわりとあたまを悩ませながら遅めの夜ごはんを食べていたわたしだけれど おふろに入って 紅茶を飲んで 読みかけの本を読みながらのんびりと時間を過ごすうちに 声のもち主探しはすっかり忘れて ゆるやかな眠りについていた