外では日が暮れようとしていた、一日の終わりの雨が降り、降り止むと立ち上る湿気を海風がさらい、ひび割れた壁の隙間や軒のしたから金色の輪を輝かせた巨大なゴキブリや羽虫やそれを食べる大きな声で鳴くヤモリが残照に浮かび上がる。
 どこにでもある夕暮れだった、ゆっくりとした時間が流れていて、私は満座ビーチで手をつなぎながら歩く恋人たちの風景を頭の中に描いた。