有紀はそう言いながらシートを起こしジョーに寄り添おうとした。甘い香水の香りがジョーの鼻にかかる。

ジョーは自然を装いながら有紀を振り払った…

「プルルルル…プルルルル…」

「…すみません、TELです。」

ジョーは胸ポケットからケータイを取り出し会話を始めた。

「もしもし…うん、うん…そうか…オレの計算通りだったんだな…ちゃんと化粧出来てるのか?…分かった…後で行く…」

「…ピッ…」

ケータイをしまったジョーは有紀を見つめた。そして有紀もジョーを見つめ返した…しかし、これからなにかが始まるような空気ではなかった…