狼俄はそれに気付いてか気付いてないのか、髪を掬っていた右手を頭の後ろに回し、左手をあたしの右手と絡ませる。 そうすれば当然支えの一つが無くなって身体は倒れるんだけど、狼俄の右手がゆっくりと支えながら倒したから、衝撃も少なく地に頭が着いたワケで。 以外と冷静だな〜あたし。 今、押し倒されてるのに。 「鈴……」 狼俄の右手があたしの輪郭を撫でる。 この空気に飲まれちゃいけないのに…… ダメだ。 負けちゃう。