探偵学園Q

トントン


自室に戻り、一段落ついたとため息を吐こうとした瞬間ユイが部屋を訪ねてきた。




「…ごめん。いきなり」

「別にいいけど…。電話は?もう終わったの?」




ずっと握り締めている携帯を横目で見ながら問うと、弱々しく笑って「うん」と答えた。

よく見ると、微かにユイの手が震えている。

何かあったのか?




「まあ入りなよ」

「…ありがと」










「あたし…Qクラスに入るまでは全然世の中のこと知らなくて。普通の女子中学生が考えてることもわからない奴だった…」




しばらくすると落ち着いたのか、ユイは自分の手の震えをギュッと拳で握ると淡々と喋りだした。




「まるで最初はジャングルに赤ちゃんが放り出されたみたいに何もわからなくてさ」


「…………」


「何もかも消えちゃえって‥そう願ってた」





ああ。

朝吹さんが言いたかったのはこの気持ちのことか。


ユイを守りぬきたいって思う気持ち。





「だからあたし…リュウに甘えっぱなしだったね」

「……」





「あたし…


 リュウが好きだよ」




「……え?」





まったく想像してなかった言葉に声が裏返った。





「…あたしリュウに話してないことがたくさんある。もう少ししたら絶対に話すから。そのときに返事教えて?」





そのときなんで気がつかなかったんだろう…


ユイの様子がおかしかったことに、なんで気づいてやらなかった…?





「…うん」




突然ユイが言った告白も、いままで教えてくれなかった自分の気持ちも


崩壊への


シグナルだったんだ…