探偵学園Q

「……別に。ユイが泣きそうだったから」


「え?」




泣きそう…?

あたしが……?



するとリュウはゆっくり歩いていた足を止めてあたしのほうに振り返った。




「朝から今日は様子おかしかったし…」

「そ、そんな…っ」

「ユイが変にテンション高いときは、なんか別のこと考えてるときだろ?」




ぼやけ始める視界に動悸も早くなる。





「そんなあたしのこと知ってるみたいな言い方やめてよ…!」




苦しい。

酸素を取り込むことすら満足にできないくらい、

心臓の音は高鳴るばかりで




「リュウがあたしの何を知ってるの?!あたしが本当は…っ」


ギュッ…



『冥王星の人間なのに』って言おうとした瞬間に、暖かいぬくもりに抱き締められた。

ハッと正気に戻ると、自分の言おうとしていた言葉の重大さに気づく。




「…リュ…ウ」


「そんなの知るわけない。だってユイは何も話そうとしないだろ?」




あたしを抱き締める腕の力が少し強くなる。




「…でも…。ユイがいま泣きそうなことくらいわかる」





―…ドキ


そんなに優しくしないで。



好きすぎて胸が痛いよ。





「……っ…あ…りがと」





あたしの想いばっかり片想い通行で、優しくされるたびに期待が膨らむ。



目から溢れる涙はしばらくとまらなくて、

それでもリュウはあたしの涙が止まるまで、ずっと抱き締めていてくれた。


あたし本当に期待しちゃうよ?