「んーっあれ?もう夕方か」



目が覚めると外はすでに紅い空が広がっていた。

いつもながらあたしは何時間寝てんだ?


時計を見ると5時を過ぎていた。




「やばっ;早く行かなきゃ」




急いでネグリジェからいつもの黒を基調にした服に着替える。



「あ、携帯も」



リュウの監視遂行のためにケルベロスからもらった初めての携帯を手にして、あたしは部屋を出た。

いや…
正確に言えば出ようとした。



「どこかにお出かけするのかしら」

「…ユリエさん」




いつもの仮面のような冷たい笑顔にゾクッと身震いする。

なんでこんなにここの人たちの笑顔は恐怖を感じるのか。




「もう日が落ちてるわよ?」

「あたしはっ

「“Qクラスだからみんなといっしょに捜査しに行かなきゃ”…とでも言うのかしら」



後退りしようとすると、それを阻むかのように手首を捕まれる。




「……痛っ」

「なんでハデス様はあなたをお気に入りにしているのかしら。孤児のくせに」




ユリエの言葉に手を勢い良く振り払った。



「最近のあなたの行動は目を見張るわ。まさかあのQクラスに愛着がわいたとでも?」

「…………」



言い返せないくらい図星な論に、あたしは下をうつむく。




「何度言わせればよいの?」





「身分を考えなさい」





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Tululululu...