数日前、ケルベロスが脱走した。

見事に僕らはまんまと騙されて唯一のユイへの手掛かりを失った。



「ユイはどこだ！どこにやったんだよ！！」

「天草！落ち着け！」



僕はケルベロスの顔を見るなり殴り掛かりそうになるほど冷静さを失っていて、同時にキュウの父親が昔冥王星に殺されていたことも判明して、僕らは『いつも通り』ではなかった。


─あんたのせいであたしの人生めちゃくちゃだよ

─僕の父さんを殺したのは冥王星だったんだよ！



冥王星。
終わりにしなければならない。

ユイのためにも、キュウのためにも。そして、自分の未来のためにも。
僕が。僕が終わりにしなければならないんだ。


窓の外を見ると１時間前のビルだけの風景とは変わって緑色の景色が過ぎていった。