「はいリュウ、あーん」

「……ん」

「うん!ちゃんと食べたね。って………何その顔」

「…だからご飯くらい自分で食べれるから。もう傷も大丈夫だし」



あれから数日が経ち、リュウは無事に退院した。
あの日から少しずつリュウの表情は和らいできたと思う。時々笑顔も見せるようになった。

でも時々ふと見せる表情が、ああまだ終わってないんだと改めて実感させられる。

そう。
まだ終わってなんかいない。
ユイがいないの。

リュウがちゃんと心から笑えるようになるのも、あたし達が表面上だけでなく元に戻れるようになるのも、きっとユイが戻って来ない限り無理。


─カラン

手に持っていたスプーンを皿に戻して俯くと前から「どうかした?」と優しい口調で声が聞こえてきた。



「ん?ああ…ちょっと、ね」

「悩み事?」

「…どこに行っちゃったの」

「……」

「あたし達にユイを見つけられるくらいの力があったらよかったのに」

「メグ」

「早く…大人にな、りたいっ」



早く大人になって自分の力で何もかも出来るようになりたいのにそれすらも叶わない。

子供は所詮誰かの力を借りなきゃ何も出来ない。それが悔しくて堪らなかった。



「…そうだね」



ねえユイ。
早く帰ってきてよ。

あたし達から自力で迎えに行くことは出来ないから、あたし達はここで待ってる。



「……よしっ!じゃあ次はデザートあーんしてあげる」

「だからいいって」

「いいじゃん。おもしろいんだもん」

「それが本音か」



そして早く、
リュウの本当の笑顔を見せて─




~To Be Continue~