「……え?」



ケルベロスが捕まった?
思わず自分の耳を疑う。
でもそれはやはり事実で、途端に頭の中にユイのことが思い浮かんだ。

唯一ユイの居場所を知っているのは彼だけだろう。



「っ先生!じゃあ…!」



七海先生に聞こうとすると、それを察したのか無言で首を左右に振った。



「まったくそれに関しては口を割ろうとはしない」

「……そ、んな」





すると「天草くん」と団先生から話し掛けられ僕は自然と顔を上げた。



「私は君達一人一人の才能を信じている。正義の心さえあれば血筋など関係ないと思っている」

「………」

「それは君も、山内君も同じだ」



団先生の手から僕の手帳が返される。



「君が退学することは君自身、此処にいる誰も望んではいないだろう」



鼻がツンと痛んだ。

僕は本当に此処にいていいのだろうか。僕だけが幸せになって許されるわけがない。



「山内君のことは私達も一生懸命捜すよ」

「…ありがとうございます」



これは、逃げているって事なのか──?