「……っ…はぁ…っはぁ」



酸素が足りない。

満足に息を吐くことすら忘れて家まで着くと、重苦しい空気を纏った自分の家を見上げた。






──…あたしリュウに話してないことたくさんある。もう少ししたら絶対に話すから


──リュウの顔見たら元気でた!




あの時、確かに僕の気持ちは君だけに向いていた。純粋に守りたいと思っていたんだ。

でも最後に見た彼女は僕を心の底から殺したい、と憎しみのこもった瞳で僕を見ていた。




──あんたさえいなければあたしは犯罪までしなくてよかったのに!



僕も君が憎たらしくてたまらなかった。

でも、でも



──リュウを好きな気持ちに嘘なんかなかった!




それでもまだユイに会うまでは認めたくないって思ってしまっている僕は最低で卑怯な奴だ。

だって気づいてしまったことを認めてしまったら、いま必死に抑えているものが溢れ出てしまいそうで怖い。


だって僕は…






震える手でそっとドアノブを開けた。