「団先生…これは…」

「七海君」

「なんでこんなものが…」

「秘密にしておいてくれないか?」



団先生の机から落ちたものは山内優衣の出生調査書だった。

俺がどうやって調べても、生まれた日も血族関係もまったくわかることのなかった山内優衣の情報をなんで団先生が…?



「先生は最初からあの人の娘だと気づいていたんですか?」

「………」

「だから山内優衣をQクラスへ入れたんですよね?あの人を守れなかった罪滅ぼしとして…」



落ちた紙の内容に目を通しながら拾い上げる。

それだったら納得がいく。
急に編入生として山内を入れたこと。

先生はってキュウの父親とあの人をあのとき守れなかったことに負い目を感じていたから。



「ねえ団先生…」

「…最初から気づいていたわけじゃないんだ」

「え?」

「ましてや入学したいと言ってきたのはあの子の方からだった。なんの調査報告も得られない彼女をQクラスに入れるだなんて、そんな危険なことは当然する気はなかった…

でもある日、裏ルートで一つの情報が耳に入った」

「………」

「あの子の産まれた日と、血液型」

「血液型…?」

「あいつとあいつの奥さんから生まれる血液型に一致したんだ」

「でもそんなの確証なんか…「似ているよ。七海君は写真でしか見たことはないけれど、あいつと彼女は目がそっくりだ」



何も言えなかった。

団先生は少し寂しそうに俯きながら出生調査書を俺の手から受け取った。