あたしはいま何をしていた?


リュウの首を…リュウのことを殺そうとしていた。





「…ゴホッ…ゴホッ……ユイ…」

「――…!」




自然と眼から涙がこぼれて、リュウの頬へと落ちた。


ケルベロス。

あんたはどこまでも残酷な人だね。
あたしももう……用済みの捨て猫なんだね。




「……ユイ?」





どこまでもあたしを落とそうとする。ここまでもかってくらいに闇の奥底へと。

あたしを解放なんて最期までさせない。




「ごめ…なさい」



もうなにに対する謝罪の言葉なのかもわからない。

裏切ったこと?
いまリュウの首に手をかけたこと?
リュウに会いに来てしまったこと?


どれも謝らなければいけないのに言葉にできなかった。