「どういうことだ?ミス・ユリエ」

「うわごとのように何かをぶつぶつと…
よほど流様に嫌われたのが心のダメージになったかと思われます」

「…それともうひとつ」

「これは私の推測ですが、じつは…………







いらいらする。
まるで亡霊のように頭から離れないあいつの僕の名を叫ぶ声。

名前すら口にするのもおぞましいのに、未だあいつが隣にいないのが寂しいと思うおかしい自分の感情。




「ねえ朋江さんやけに丁寧じゃなかった?お父さんに対する言葉遣いとかなんか家族じゃないみたいだった…」

「血が繋がってないって言ったっけ?」




すべてがもう嫌になる。




「…リュウ?」

「どうしたの?」




重い気持ちと一緒に動かなくなった足に、進むことを停止すると、キュウとメグが不思議そうにふりかえった。




「……別になんでもない」




そんな眼で見るなよ。

キュウ達が言いたいことは言葉にされなくてもわかるから。


余計に僕をいらつかせるだけだ。




「ねえリュ
「お父さんの転落事故のこと…何か知っているかな」

「リュウ…っ!」