いばらみち

あれから、奈津から特に報告もなかった。


そして秋も半ばに差し掛かったある日、体育の授業の内容が球技から長距離走に移った。

何気なく奈津と一緒のペースで学校の敷地の外を走っていると、奈津がお腹を摩りだした。


「…大丈夫?お腹痛い?」

いつもお喋りな奈津が今日は静かだった。

「痛いっつーか、なんか気持ち悪いかなー…」

「じゃ、ゆっくり走ろっか。先生のところでちょっと前後にズレたらなんにも言われないだろーし。」

ゆっくり走る私たちだけど、ドンじゃないから後ろから先生が来ることもないだろう。

奈津は皆が居る手前、あまり口には出さないが、最近お腹が少しぽっこりしてきた。

二人になると、やっぱり妊娠の可能性があるなって話になるけど、奈津はまだ、怖くてて簡易検査をしていないらしい。