ぼくは、誰も乗せてない電車を汽笛をならしながら走らせた。



「すみません」



誰もいないはずの席から
声がする……
ぼくはビックリして振り返った
でもどこを見渡しても人の姿が見えない




「わたしの姿は、あなたには見えないでしょう。なぜならわたしはこの世には、もういないから。」
姿の見えない人はぼくにそう言った。



「ではあなたの行き先はもう決まっています。ぼくと一緒にこの空をずーと上って白い星にいきましょう」


ぼくは、その行き先が天国だとは告げず、そっと電車を走らせた。