勇樹は唇の横が切れ、血が出ていた。

目の回りにも傷があり少し腫れてきている。


私は手当てをしながら話した。



「勇樹からの連絡が途絶えてからなの。

一人で海に行った時、偶然会ったの。

あたし、その人の会社のヨットに黙って乗っちゃって…

それから次にひとみや彩と一緒にクルージングに連れてってもらってね。

付き合おうか…なんて言葉はなかったけど

知らないうちに付き合ってた。

……ごめん…再会した時、言うべきだったね。

あたし、もう勇樹から連絡ないって諦めてた。

番号も変えちゃって、こっちからも連絡できなかったし…

でも、どこかで待ってた。忘れられなかった…

それは信じて?

言わなかったあたしが悪い。本当にごめんなさい…」



「いや、ずっとほったらかしにしてたんだ。

俺に責める権利はないよ…

今だって…結局美凪に淋しい想いさせてるしな」




勇樹は保冷剤を目に当てながら、ガックリと肩を落とし、溜息をついた。