そして、春の香りが漂い始めた頃――



思わぬ展開が待っていた。




突然、知らない番号からの着信があった。


(ん?誰だろう…?)


そういえば、最近不在着信で2度ほど知らない番号を見たことがあった。



普段なら登録してない番号には出ないようにしている。


私はその時コンビニにいて

長く音楽を鳴らして出ないでいるのも、周りにも迷惑だろうと

慌てて通話ボタンを押す。




「もしもし…?」


恐る恐る言うと


「………った?」


店内の音楽にかき消されて聞き取れない。


間違い電話だろうと思った私は


「はいぃ??」


と語尾を上げ、そっけなく言った。


すると今度ははっきりした声で


「元気だった?」



……………?





その声の主に気付くまで

少しだけ時間を要した。