ある週末の晩のことだった。

その頃は週末どちらかのアパートへ泊まるようになっていた。



「なぎちゃん?」

千早人は私のことをそう呼び

私は千早人を“ちぃちゃん”と呼んだ。


「なぁに?」


ベッドに入り、電気を消した瞬間だった。


暗闇にまだ目が慣れていなくて

顔の表情はわからないが、どことなく弱々しく、不安そうな声に

私まで不安になった。



暫く沈黙の後千早人は静かに言った。


「別れた…って言ってたけど……
そいつのこと、まだ好き?」


私は心の中を読み取られてしまったようで、ドキッとした。



「…なっ、なんで?
なんでいきなり言うかなぁ…」


私は否定の言葉ではなく

そんなどこか慌てた様子しか伝えられなかった。



「だから…まだ好きなのか?って聞いてるの」



「もぅ……そんなこともう関係ないじゃん?
今はこうしてちぃちゃんとラブラブなんだからぁ」


またしても、はぐらかすような返事しか出来ない私……


せめて明るく、甘えるように言って

千早人の胸に顔を埋めた。