ちょうどフェンスの扉に着いた時

男は扉が閉まらないよう、手で押さえながら

私が通り過ぎるのを待って言った。



「よかったら今度ヨットに乗りに来ませんか?」


「……へっ?」


私は素っ頓狂な声を上げ

目を大きく見開いた。



「むさ苦しい親父ばかりなんで…
女性が来るって言うと喜ぶんですよ」


「いいんですかっ!?」



(ヨットに乗れるなんてサイコー!)


心の中でガッツポーズをした。



「今度の日曜、9時に出発します。
30分位前にはここへ来て下さい。

あっ、お友達も連れて来ていいですよ!」


「ホントですかぁ?!」


私は益々舞い上がり

跳びはねた心はもう海の上にいるようだった。