約束〜不確かな未来〜

男は私の横に腰掛け

プシュッという音を立て缶を開けると、ぐいぐいと飲み始めた。


喉仏が動く様を見て

私は急にドキドキしてきた。


「開けましょうか?
気付かなくて……爪、綺麗ですね」


男は私の手から缶コーヒーを取ると

プルトップを開け、また私に手渡した。


「すみません」

軽く頭を下げ、仕方なく一口流し込んだ。


(ウゲッ!まずい…)


苦い味が口いっぱいに広がる…


私の心はきっとこんな味なのかな…

そんな事を思うと無性に切なくなった。



「爪、自分でやったんですか?
夏らしくて涼しげで……似合ってますよ」


「あたし、指が短いのがコンプレックスなんです。

…だから爪をなるべく伸ばしていたいんですよね」


私は恥ずかしくなり、爪を隠すように中へと曲げた。


「そんな!隠さなくても……見せて下さいよ。
貝殻みたいだったじゃないですか!」


貝殻みたい――


そう表現されたのが嬉しくて

私はそっと左手を伸ばした。