「あと一週間だね~。」

「うん、一年生は何とか間に合ったって感じかな。」


清花先輩と香奈恵先輩が話している。


本当にかなりギリギリでなんとか最後まで吹けるようになったかなって感じ。


まだ、最後のスラーの息継ぎは怪しい。


最後は盛り上げるため、ゆっくりのテンポでロングトーン、しかも高い音、フォルテ(強く)
とかなり酸欠状態。その前に息続かない。


「でもこれだけ頑張っても、フルートの音ってほとんど聞こえないんだよね~」


えっ!?


「うん、去年の録音テープちょっとショックだったね。」


あ、そういえば。


同じ曲を去年もやったらしく、録音テープをみんなで聴いた時だった。


清花先輩も香奈恵先輩も必死に耳をすませていた。

「清花、聞こえた?」

「ううん…。香奈恵は?」

「私も。最後はあんなに一生懸命吹いたのに…。」



最後の盛り上がりは、全員がフォルテなのでフルートの音はかき消される。




私がその時の様子を思い出していると、


「でも、頑張ろう!」

「うんそうだね!」


と言って先輩達は練習を再開した。



前向き。
うちの先輩はいい人ばっかだな。


私も練習に精を出した。