「じゃあ、ちょっと待ってて。他の楽器取って来るから。」
少し迷って言ったのだが、
「いいよこれで。」
と言って私のフルートを取る。
ぎゃー私が良くない!
「ちょっと!これ高価な楽器なんだから、勝手に触らないで。」
「げっ!高いの?」
「そうだよ。」
「じゃあ、吹いてもいい?」
「え?」
今の話聞いてたか?
「だから、許可もらえばいいんだろ?」
許可って私にかー!?
「あーどうせ鳴らないと思うよ。
てか、楽器に興味あるの?」
「うん!」
…もういいや。
諦めた私はハンカチで吹き口をぬぐい、
「絶対落とさないでよ」と言いながら楽器を渡した。
「こう?」
「うん、こことここを押して。一番出やすい音だから。」
ふ~、ふ~…
「難しいな…、
あ、今音出なかった?」
「うん、そだね。」
私勝手にこんなことして先輩に怒られないか?
「もうそろそろ返してほしいんだけど、吹部に入りたいの?」
「いや。おれ野球部だし。」
はあ?!
「あ、そろそろ部活行かないといけないから行くわ。
じゃ、ありがとな!」
と言って、彼は去っていった。
あいつ!!私の貴重な時間をかえせ!!
怒りを込めながら吹き口をハンカチでこする。
もう絶対誰にも楽器貸さない!



