そんなこんなで塾と受験勉強の合間の部活も最後の時が迫っていると思えば、なかなかサボろうという気は起きず、惜しむように活動した。
夏休みも明けたある日。
「こんにちは。」
廊下で顧問に会った私は挨拶をした。
「おっす。楓、渡すものがあるから、練習場所で待ってろよ。」
「はい?」 渡すもの?
「あ、練習場所は向こうの廊下だったよな?」
「はいそうです。」
音楽室の向かいにある美術室前の廊下だ。
でもなんだろ…?
私はいつものように鞄を音楽室に置き、準備をして練習場所に行った。
「フルートフェスティバル?<笛祭り>」
後から来た先生に渡されたチラシにはそう書かれている。
何これ?そんな祭りは初耳だ。
それもそのはず、第2回と書かれているではないか。
去年はサックスやってたし、先輩も来たり来なかったりだしな。
「上原先生って知ってるか?県内では有名なフルート奏者なんだが、その人中心に県内のフルート奏者達がみんなでアンサンブルするそうだ。」
「へ~。それに参加するんですか?」
「うん、どうだ?指導には専門家があたってくれるし。いい機会だと思うけど。」
「賞とか競うものではないんですよね?」
「ああ、ただ吹くだけだ。リハーサルと練習が一回あって、本番もたぶんみんなで吹くと思うぞ。」
練習一回だけ…いいいのか悪いのか。
なんだか初めての事でどんなものなのか要領を得ない。
先生も専門外の新しい企画に詳しくはわかっていない様子。
私が考え込んでいると、
「まあ、初心者はそのもみじって曲だけだし、参加してみろよ。」
と言われ、
「はあ。」
と特に断る理由もない私はそう返事するしかなかった。



