琴子がいるときは、


「ソー♯はここだよ。」


「あそっか。」


とか、二人で指使いの確認したり、


「ファーまで出た!」


「え~良かったね!」


など、気がついたら結構できるようになっていた。



時って素晴らしいわ。


うんうんと一人うなづく私。


~♪


「!?」


見ると、教則本の簡単な曲を琴子が吹いている。


「すごい!もう曲吹けるの!?」


やっと指使い覚えたとこなのに。


「うん?簡単な曲なら吹けるよ。
楓もやってみなよ。」


そうなの?


「やっぱ難しいじゃん。」


「え~。大丈夫だよ~。」


琴子は音も出るの早いし、ピアノやってるせいか楽譜もスラスラ読める。


私も一応読めるけどスラスラとまでは…。
これがピアノやってる人との違いか…。


こんな所でそれが出るとは。遠い目でみる。


でも、あれ?


「結構できるかも?」



 時間はちょっとかかるけど一回飲み込めば、意外と出来るぞ。


「でしょ?じゃあ、上と下でハモろうよ!」


 下、もう出来んの?はやっ。
やっぱ違うわ~。


一歩先を行く同級生に焦りながらも頼もしく感じる。



そんなこんなで仮入部の時間は楽しく過ぎ、私はだんだん部活に行くのが楽しくなっていた。