それから2、3日も立つとだんだんフルートにも慣れてきた。


ある時たまたま一人で練習していると、


「やっほ。楓ちゃん練習どう?」


「あ、聡美先輩。」


「楽器は慣れた?なんか困ってることとかある?」


う~ん。

「あ、♯とか♭があまりぴんとこなくて…ややこしいというか、覚えにくいというか~。」


「♯? 楓ちゃんはピアノやったことある?」


「あまり…音楽の授業で少しぐらいしか。」


「そっか、ちょっと来て。」


聡美先輩は音楽室のピアノの所に行った。


「白鍵と黒鍵があるでしょ?
黒鍵が♯や♭。

ほら、ドとレの間にある黒鍵、これはドより高いからド♯。同時にレより低いからレ♭。」


「あ、なるほど。」


改めてピアノを見ると音階を形にしたみたいだ。


「それとミとファの間には黒鍵がないから、ミの半音上はファでファの半音下は?」


「ミ?」


「そう。ミ♯とか言わないのはそういうわけ。

シとドの間にもないよね。」


「は~わかりやすいです!ありがとうございました。」


「どういたしまして。」


先輩はにっこり笑った。