私はふと、自分の練習もさることながら、後輩の指導にも熱を入れようと思った。
いや、今までがいい加減だったというわけではない。
何というか、一度も叱ったことがないのだ。
フルートの後輩は叱る必要がないぐらい真面目にやってる。だから、いい。
そう思っていた。
でも、本当に注意すべき所を注意していたか?
締めるべきところを締めていたか?
もう大会まで日も迫っている。
そんな思いもあって、時折、少し厳しい面も出した。
フルートだけの曲合わせの時、恵が私たちの所に練習を見学しに来た。
「いいよ。」
恵は私の楽譜や自分の楽譜を見ながら、時々自分も加わったりする。
私たちの曲合わせは、曲のどっかでひっかかると、いつもみんなで笑ってしまうことが多い。
それも楽しいのだが、そもそも曲の最中に笑って中断するなんてことが、本番であってはならない。
それなのに、今日は一段とそれが多かった。
「曲を吹いている間、指揮者が止めない限り今のように止まってはだめ。」
私はそのことが当たり前になるように注意した。
しかし、一回や二回の注意では聞かず、
「じゃあ、最初から通してみよう。何があっても絶対止まっちゃだめだよ。」
と念を押して、リズムを刻んだ。
~♪
曲も後半の所、一人が崩れ、しだいにみんな吹けなくなった。
カッカッカッ
私はリズムを刻みながら、また始まった。と思った。
それでも、持ち直すのを期待してリズムを打つ。
だが、みんな笑い出してしまった。
恵も加わって笑い出す。
ダメか。
でも最後まで通した覚えがない。
何度もトライしてみる。
同じ場所ではないが、どっかで必ず曲が止まる。
「もっと集中して。間違えてもリズムを数えるのを忘れないで持ち直すように。」
カッカッカッ
次のトライ。
また誰かが崩れ、みんなは笑い出してしまった。
曲が止まる。
笑い続ける。
「誰が止めていいって言った?」



