吹いて奏でて楽しみましょう


久高先生のおかげで顧問だけの時より合奏の回数も増え、雰囲気も多少変わり、全体的に少しずつしっかりしてきたような気がする。


その後、久高先生は中学校にいる間の2週間ちょっとを見ることになる。


その間にもいろんな先生やOBがやってきた。


「今日、クラリネットの先生が来てくれるんだって。」

茜が言っていたその先生は美人な若い女の人だった。

ショートカットで、細身の体にスーツを着て、キャリアウーマンみたいにかっこいい。

だけど優しい笑顔がキツい印象もさせない。


「綺麗な人だね~。」

「うん。」

そんな話をしてたら、顧問が通りかかって、何やら会話をかわした後、

「茜達は、クラリネット教えてもらったか?」

「はい。教えてもらいました。」

「どうだった?」

「わかりやすかったです。」

「先生、あの人美人だよね!」

「名前なんていうの?」

真弓と恵が会話に割り込んできた。

「登川だ。」

「登川?」

「先生と同じ名字だね。」

「まさか親戚とか?」

「名字が同じなのは当たり前だ。俺の奥さんなんだから。」


「…」

「え?」

「えーー!?」

一瞬の思考停止の後、みんなが驚く。

「うそだ!!」

「なぜうそつくんだ。」

「だって、なんであんな綺麗な人が先生の奥さんなの!?」

 あ、みんな正直すぎ…

「悪いか!?」

さすがの先生もカチンときたようだ。

「だって~」

「本当に?うそじゃないの?」

「だったら本人に聞いてこい。
茜、15分後に合奏だ。」

「あ、はい。」

「そこまで美人かな~。」

先生はそんなことを呟きながら去っていった。