「今日から、久高先生に合奏を見てもらうから、ちゃんとやれよ。」
「よろしくお願いします。」
今日は昨日と反対で顧問は見学にまわる。
「ところで、合奏体系はこれで決まってるんですか?」
久高先生が顧問に尋ねた。
「あー、合奏体系か。いや、やりやすいように変えてもいいぞ。」
「ありがとうございます。
じゃあ、前列から。両サイド半円状になるように、もっと中央に出てきて。」
え?
久高先生の言うとおりにしたら、指揮者近くなったが、完全に真横から指揮者を見る形になって、さらには、反対サイドの端の人達とまで向かい合わせて見えるようになった。
「後列もあわせてできるだけ半円に。」
隣の後輩は反対側に手を振ってるし、私の位置からは、真ん中の莉奈や茜の姿まで見える。
なんか指揮者より前に出てる気が…
指揮者の右手が見えにくいよ。
さらに指示を出す久高先生を横からぼんやり見ていると、人より突き出した喉仏が上下してるのがはっきりわかる。
うわ、喉を突き破って出てきそう。
血管や骨が苦手な私は、そんな考えに失礼にも気持ち悪くなっていた。
しかし、それに気づいたのは私だけじゃなく、みんなも似たようなことを考えていたようだ。
「あの先生、喉仏ですぎじゃない?」
「あー!私も思った。」
「あはは!何?喉仏ですぎって。」
「莉奈達は正面だからわかんないんだって!ゴリゴリ音聞こえそうだもん。」
帰り道、そんな感想を言いながら、ケタケタ笑って歩いた。



