「でも、あの先生…えっと」
「久高先生?」
「そう。なんでこのみんなとズレてるんだろうね?」
「うん。」
「なんか、留学するとかなんとか言ってたよ。よくわかんないけど、それでこの時期になったとか…」
「え~?留学?」
「てか、なんで真弓知ってるの?」
「ホルンだから、教えてもらってる時にちょっと話した。」
「あ~。そういえば、稽古見てたね。」
「うん。いきなりでびっくりしたけどー。」
「いいじゃん。良かったね。」
「う~ん。でも、緊張するよ。」
真弓が複雑な顔で言う。
「あー、確かにそうかも。がんばれ。」
一昨年の顧問がクラリネット専門だった茜と莉奈は気持ちがわかるようだった。
「で、留学てどこなんだろ?」
「ドイツだって。」
「ドイツ!?」
「なんで?ホルンの有名な学校でもあるの?」
「さあ?でもベートーベンもドイツだよね?」
「あー!そっかー。でもヨーロッパに音楽留学ってなんかすごくない?」
「…あの人そんなにすごいの?」
「さあ~?」
「でも楽団の指揮までしてるって、かなりすごいんじゃない?」
「真弓、良かったね。」
「余計こわいけど…。
でも、めったにできない経験かな。」
「久高先生怖いの?どんな感じ?」
「え?えと~、普通だったよ。」
「本当?」
「うん。ちょっとしか見てないから、保証できないけど。」
明日から、久高先生の稽古が始まる。



