吹いて奏でて楽しみましょう


 ああ、今日もあれが来るのか…。

あれとは挨拶攻撃。
最近は競争しあって若干楽しんでる節もあるが、

 危ないな。

と思う。色んな意味で。

 今日は一人で部活行かなくちゃいけないんだよね。

誰かと一緒ならまだいいんだけど、

と思ってるうちに音楽室に向かう廊下についた。

「あっ!」

 来た!

ズダダダダー!

「こんにちはー!」
「こんにちはー!」

廊下の両サイドに並んで大声で挨拶する後輩達。
その中を歩く。

 私は極道の姉御か!!

恥ずかしくて少し早歩きになる。

他の子が見たら、異様な光景だろう。


練習中も、

「先輩、挨拶に行っていいですか?」

 え?

初めは意味わからず

「いいよ。」

と言ってた私だが。

すぐに、ああ、先輩が来たのね。とわかる。

しかし、最近は遅れを取りたくないのか断りもなく掛けていく。

 挨拶に行っていいですか?って質問もどうか?と思ってたけど。




「あの1、2年達はどうしたんだ?」

ついに先生が口を出した。

「何がですか?」

「あの凄まじい挨拶。危ないだろ。」

「先生が言ったんじゃないの?」

「来た先輩や客には挨拶しなさいと言ったが、あそこまでしろと言ってないぞ。」

「あれちょっと恥ずかしいよね。」

「お前達でもないのか?」

「まさか。」

「とにかく、ちょっと粛正させなさい。いつか怪我するぞ。」



と言うわけで、その日のミーティングで茜と先生が言い聞かせて、騒ぎは収まった。


私達が監督してると思ってても、意味不明な事が起こる。

 今回のは珍事ですんだけど。集団って、時に何が起こっているのかわからない。

 あ、だからかな?

昔、3年生が1年にこっそり2年が何を言ってるか教えてほしいなんてことを言ったりしてきた。

たぶん、2年には1年のことを聞いてたのかも…

2年も3年の様子を気にしてたみたいだし。


そうやって、疑心暗鬼になるのがなんか嫌な感じだったが、今なら少しわかるかも。

ちょっと当時の3年とは違うかもだけど、知らない所で何かがズレていくのは怖い。