吹いて奏でて楽しみましょう


~♪

7月に入ろうかという頃、私は後輩の嬉しい変化に気づいた。

 え?今のって?

視界の端に引っかかった一点のものに目を向ける。

~~♪

 !!

やっぱりそうだ。

「比奈ちゃん…」

私の言葉に「え?」と振り返る。

私は少し驚いた表情のまま、

「今のところもう一回吹いてみて」

「?え、はい。」

~♪

「比奈ちゃん、上手くなったね~。」

あの、音符一つ一つにブレスして、ぶつぶつ途切れた演奏をしていた比奈ちゃんが、一息で、ちゃんとメロディーとわかるものを吹いている。

確かに、まだ一息の長さは短い。音も全然小さい。

でも!
当初から見てきた私には信じられない成長だ。

 あの比奈ちゃんにこんな日が来るなんて。

そう思うぐらいに絶望的だったのに。

比奈ちゃんは、私の誉め言葉が嬉しかったようで、照れながらも笑っている。

 いやいや、私も嬉しいよ。

その時、妙な既視感が浮かんだ。

 あ、そう言えば、私も1年の時

「楓、上手くなったね。」

少し驚いた表情の梢先輩に言われたことを思い出す。

クラリネットの3年。厳しい先輩で、それ故に嬉しかった。

 そっか。私も同じこと言うようになったんだな。

考えて、ちょっと笑える。


「ねぇ、いつの間にそんなに出来るようになったの?」


私はすぐに笑いを引っ込めて、比奈ちゃんに聞いた。