「自由曲もいいが、課題曲を先に仕上げろよ。」
と、言われているので、課題曲の練習に時間を多く割いてはいるが、思い入れがないため、あまり楽しくない。
それにくらべ、自由曲の方がやりがいがある。
「なんか、一つの物語みたいで、いいんだよね~。」
「わかります!その感じ!」
フルートの後輩ともそんな会話をしては、自由曲を褒め称えた。
フルートの後輩とは、合奏や指導を重ねて、前より親しくなった。
練習場所が小さくなったことで距離が縮まり、話しやすくなったのかもしれない。
「結婚式とかさ、自分がフルート吹いて、旦那さんがピアノ伴奏ってのもいいよね!?」
「あー!それいい!ピアノできる男の人ってカッコイい~し!」
他の子も目を輝かせながらうんうんと頷く。
「じゃあ、両方ともフルートでデュエットとかは!?」
貴子ちゃんが言ったことを想像する。
愛する人とハモる。
「あ~いいね~。その線も捨てがたい!」
「じゃあじゃあ、ハープとか!?」
「ハープ!?キレイだけど、それなら、自分がやりたいよ~。」
洋子ちゃんの提案に私が突っ込み、みんなで笑う。
「バイオリンとか、コントラバスもいいですよね…。」
「あー!それもいい!」
今度は比奈ちゃんが言い出して、貴子ちゃんが同意する。
「どれも捨てがたいね~。でも、フルートは吹きたいかな。」
そんな妄想全開のバカ話…もとい乙女ちっくな砕けた話までできるようになっていた。
練習は練習で、真剣にあわせていると、たまに音が外れ、よく笑ったりしていた。
あまりに笑いがすぎると、
「はい、もっと真剣に!」
と、活を入れるて引き締めるが、ツボにハマると、どうしようもなく、個人練習に移る始末だ。



