チェスフォード ポートレイトの譜面は、学校にあった。
私達が入学する以前に先輩達がやったらしい。
ざっと目を通す。
あれ?これってソロ?
フルートの楽譜を見てたら、前半途中ソロ(独奏)の意味を示す記号が書いてある。
短いけれど、フルートのソロから始まって、いろんな楽器が入ってくるプチボレロ形式。
いいな~、貴子ちゃん。ソロなんて、むちゃくちゃカッコイいじゃん。私なんか3年やって一度も…
ん?
私は3年だから、うらやましいけれど、初めての大会でソロ!? それって…本人からしてみればどうなんだろ?
貴子ちゃんなら大丈夫とは思うけど…。
ピッコロはもちろん休みになっている。
待てよ。休み…意外と長い?
これだと、フルートに持ち替えても間に合いそう…。
う~ん。
「えー!フルート、ソロあるの?」
朝の職員室掃除。
毎年恒例で吹奏楽部の3年が行っている。
朝練のおかげで、朝の弱い私でも、遅刻せずにすんでいる。
朝練には遅刻するけど。
「うん、カッコイいよね。私はうらやましいんだけど。」
「そこだけ、楓がフルート持ち替えで吹いたら?」
「ん~。でも、なんか悪いかな~?とも思うんだよね。」
「貴子ちゃんに?」
「見せ場だしね。」
「それなら、楓も最後に見せ場ほしいんじゃない?うちら最後の大会だし。」
「ん~そうだよね。正直、やりたいのはやまやまなんだけど。」
「貴子ちゃんに聞いてみれば?」
「なんかな~、後輩だから断れないでしょ?」
「大丈夫だよ。そのへん、わかってくれるって。
それにいきなりソロで気が重いと思ってるかもよ。」
「それは考えたんだけど…。」
なんかこっちの都合がいいように考えてるみたいで…
あ~いっそ、貴子ちゃんの頭の中覗けたらいいのに。
そして、少しでもソロをやりたい気持ちが見られれば諦めもつく。
なんて、バカなことを考えていた。



