吹いて奏でて楽しみましょう


が、しかし

「緊張してきた~」
「私もどうしよ。」
「楓先輩。私、大丈夫ですか?」

 え?さっきまで緊張感のカケラも無かったのに、大丈夫ですか?と聞かれても。

「大丈夫だよ。あっという間に終わるから。」

 と答えるしかないし。

 さすがに、舞台袖は緊張するのか。

そんなことを思った私だが、この後人のことを言えなくなる。

~♪

 それにしても…やっぱりみんな吹奏楽曲だな…。

 やっぱり歌謡曲なんてうちだけなんじゃ!?

と言っても、今更仕方ない。


『続きまして…』

アナウンスがかかり、私達の番となった。

フルートは、最後尾にいるので、伝言ゲームがあるとはいえ、あまり前の様子はわからない。

 あ、やっと動いた。

ピッコロの私は一番最後に舞台に出て、すぐにセッティングをする。

 イスが足りないみたい。

「すいません。ここにもイス下さい。」

後ろにイスを運んでいるスタッフの人に声をかける。



やっとスタンバイが出来て、幕が上がった。

 うわっ!

パチパチと拍手が鳴る客席が思ったより近い。

 あれ?こんなに近かったっけ?

昔より、前列を半円形に並べて座っているせいで一番はじの私は、客席じゃなく、指揮者の方に完全に体ごと向けて座っている。

だから、完全にはお客さんを見れないけど、

 なんかすごい近いよ~。

 前列ではしだとこんなに飛び出すのか…
ううっ、視線が痛い。

客席を見ると緊張してしまいそうで、真横を向いたまま、視線を変えられなかった。

むしろ、背中を向けてしまいそうなぐらいだ。

明らかに前とは違う。